今日は健康診断に行く日。14時には終わるので戻ろうと思えば職場に戻れるが、ラッキー早帰りをもらった。そうと決まれば献血するしかない。私はすぐに、トキハわさだタウンの献血ルームに電話をかけた。幸運にも、15時からの枠が空いているという。そこに予約をいれた。13時から1時間で健康診断を済ませて、どこかで食事をとってからわさだに移動し、献血をする。なんと優雅な平日だろうか。
現実はそう甘くはなかった。
13時直前に健診センターに入場。いろいろ入った封筒を受付で提出し、待つ。呼ばれない。20分ほど待つ。やっと呼ばれて身長と体重を測る。また待つ。呼ばれない。この繰り返しである。腕時計をチラチラ見ながら、村上春樹の「夏帆」を読み進める。村上面白いという気持ちと、健診早く終わんないかなーという気持ちが入り混じる。まずい、献血行けるか……?
果たして、健康診断が終わったのは14時25分のことであった。ここからわさだタウンまでは車で25分。単純計算で、10分しか余白がない。マクドナルドに寄ってドライブスルーでハンバーガーを買って、信号待ち等で食べながら移動すればよいと考えた私は、最寄りの店舗に向かった。ドライブスルーは渋滞こそしていなかったものの、注文口で停車している車のドライバーがスマートフォンの画面を真剣に見つめているのが見えた。この人はドライブスルーで注文しようとして「モバイルオーダーが可能ならお願いします」と言われ、マック公式アプリのインストールから始めたに違いない。あと4分はかかるだろう。それなら!と車を駐車場に停めて、入店。店頭で頼めばいいのだ。しかしレジに店員さんがいない。一目見たら分かる、これは確実に忙しい時の雰囲気だ。ポテトをすくう店員さんの背中から焦りが伝わってくる。5分で注文して受け取りまで済ませられる気がしない。無理だ。
私は何も注文することなく、マックを飛び出した。マックは何も悪くない。私の時間管理能力が足りなかっただけのことだ。昼飯はどこかのコンビニでおにぎりを買って済ませよう。
良いところにローソンがあったので、車を停めて入店。普段なら選ばないツナマヨおにぎりと佃煮おにぎりを手に取る。野菜ジュースも買うか迷って、辞めた。こんな時でも、野菜をしっかりとらなければ!と脅迫的な思いに駆られる。会計もスムーズに終わった。焦りが出ないように注意しながらレシートは大丈夫です、とゆっくり口に出し、レジを後にしようとすると「あ、お客様」と呼び止められる。焦りつつも杜撰な返答は許されない!「はい!」と元気よく答えると「お茶が、あの、選べますので」お茶?お茶は買っていない、はて何のことやら……状況を把握するのにおよそ6秒を要した。「あ、選んでいいんですか?」どうやら、おにぎりを2個買うとお茶が1本もらえるキャンペーンが実施されているようだ。迷わず「午後の無糖 紅茶」を選んで「こちらでお願いします」と言った。もごもごと。そのまま持って行ってよいものと思って、私はお茶を店員さんに向けて掲げたのだが、きちんとバーコードを読み取る処理は必要なようで、店員さんは両手を広げてそれを示した。あからさまに急いでいる顔をしてしまっていた私、店員さんを焦らせてしまって申し訳ない。ぴっと音を立てて紅茶のバーコードを読み取ってもらい、礼を言って、滑るように店を出た。期せずして飲み物が手に入った、これは幸運である。
血を捧げに行くのに、焦って事故をして血を見るようでは本末転倒。あくまで安全第一で運転した。
幸い時間には間に合った。おにぎり2個では栄養が足りず、血を抜かれて体調不良になってしまってはいけない。私は献血ルームに入るや否や、いつもの3倍近くの水分を摂取した。DAKARAがおすすめらしいのでぐんぐん飲んだ。そしてベッドに横たわり、ぐんぐん血を抜いてもらいながら村上春樹の続きを読んだ。おもしろいなあ。

献血が終わって一休みして、無印良品の給水器で空になったプラスチックの水筒にたっぷり常温の水を詰めた後、1階のマクドナルドに行ってみた。健診センターから献血ルームへの移動中にありつけなかったので、リベンジ。最近のマクドナルドは、自分で注文をして支払いまで済ませることのできる大きな端末(?)が入り口の近くに置いてあって、私はその端末で支払いを済ませようとした。しかし、もはや私の食べたいと思うハンバーガーはなかった。