退勤、職場の最寄り駅に着くとホームのベンチで若い女性が3人、煙草を吸っている。ここだけキューバか、昭和だ。しかも、おそらくキューバ生まれでも昭和生まれでもない若者たち。ポイッとそのへんに吸い殻を捨てた。私は煙草が嫌いだが、ありえないくらいのマナー違反を見るとキューバを思い出して和む。キューバに滞在した1ヶ月間の間、私に親切にしてくれたラサロという友人がいる。善良で、品があり、社会に対する問題意識を持った聡明な人物であるが、ハバナ市内で歩き煙草をしていたし、吸い殻をその辺に投げ捨てていた。でも私はラサロが大好きだった。いまどき駅のホームで煙草を吸う人間を見たら大半の人が眉をひそめるだろうし、実際非常識だなとは思うのだけど、いまいち憎めないと思ってしまう。キューバのせいで、私の嫌煙は相対化されてしまった。「この時代この国においては」という枕詞から目を背けられなくなってしまったのだ。