シリコンのような撥水素材でできたリュックサックを購入して1ヶ月ほど経過し、やっと雨が降った。撥水が売りの鞄はついに本領発揮の舞台を得たわけだ。妻に送ってもらった車から駅に飛び移る時、頭には傘をさすがリュックは濡らしてみた。果たして、リュックは濡れた。そして染みない。撥水ということに人類の欲望が象徴されている。雨が降れば濡れるのが道理だが、人はそれに抗おうとしているのだから。 傘をささなくてもリュックの中身が濡れないということが、ここまで便利だとは思わなかった。私はるんるんと列車に乗り込み座った。リュックを膝に乗せると、大いに濡れている。当たり前のことだが撥水リュックは水が染みないから、新鮮な水滴を周りにぽたぽた垂らす。私のズボンに小さな雫が落ち、暗い色の染みがたくさんできた。暗澹たる気持ち。しかしズボンも速乾素材なので、列車を降りるころには誰も私がリュックから反撃されたということに気が付かない。それにしても人類の濡れることへの抵抗心はすさまじい。