今日の帰りの列車は旅客用?のボックスタイプの座席で、高校生一人が通路側に座っていたので、注意深く同じボックスの斜向かいに座って身を小さくした。列車が一駅進みドアが空いて結構な人数が鶴崎駅に降りて、少し列車が空いたなと思うと今度は六人の初老の男性と一人の若い女性が乗り込んできた。男性らは昭和のサラリーマンをそのまま老けさせたような服装で、眼鏡も昭和から持ってきたような品と茶目っ気のあるものをつけていた。高校生と私の座るボックスにはまだ二席の空きがあって、女性が男性らに座席を勧めたところ、レディーファーストの名目でかえって女性が座ることになった。 待ち合わせのために列車はこの駅にしばらく停車する、と放送される。男性のうち一人と女性は初対面のようで、停車中の列車の中で名刺交換が始まってしまった。女性は中野さんというらしい。 「中野と申します」 「ご噂はかねがね」 中野さんと名刺交換をした男性は、やはり昭和のサラリーマンの風格で挨拶をした。四十分はかかるよなどと言っているが夕方に佐伯行きの列車に乗り込んできたこの集団は一体どこに向かっているのだろうか。