火曜日の昼下がり、蔦屋に行ったら、棚の間に人がいない。辺りを見渡しながら歩き回っていると、ときどき、平積みの雑誌をじっと見つめる中年の女性や、小説の棚の前をゆっくりと蟹のように横移動する学生に出会うのだが、棚の間には本当に人がおらず、広い店内は閑散としている。奥に目をやると、スタバが人であふれていた。学生、淑女の集団、中年夫婦、ご老人など、ゆうに三十人はいる。コーヒーか、甘くておいしい飲み物の入った紙コップを脇に置いて、コンピュータでの作業や友人との談笑を続ける。本を読んでいるのは一組の老夫婦だけで、地域情報誌を二人で黙々と眺めていた。人魚の笑う深緑の看板に続く棚の間の通路には、やはり誰もいない。 これは、と思う。蔦屋書店の建屋にスターバックス・コーヒーが入っているというより、スターバックス・コーヒーの店舗にたくさんの本と本棚を置いて、その管理を蔦屋書店に任せているみたいじゃないか。